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「ちょっ……。

「ちょっ……。なにゆえ?なにゆえみなさんとおなじことをいっただけなのに、おれだけ受けになるんですか?」

「なにゆえか、おまえがいうとそのようにきこえるのでな」

「蟻通先生、そんなわけないでしょう?」

 

 そんなわけがあるか。

 

 全力で否定したい。

 

 ああ、おれのイメージはBL、https://blog.udn.com/79ce0388/179990829 https://freelancer.anime-voice.com/Entry/59/ https://ypxo2dzizobm.blog.fc2.com/blog-entry-61.html   衆道、受けじゃないか。

 

 とんだ誤解である。

 

 あともうすこし時間があれば、合コンでもやって彼女をみつけられたかもしれないのに。

 

「無理無理」

「無理無理」

「無理無理」

「無理無理」

 

 心のだだもれの声に、ソッコーで否定されてしまった。

 

 しかも、伊庭にまで。

 

 ってか、合コンってしっているのか?

 

 どちらにせよ、だめだ。

 

「野村利三郎たたぬ」説同様、「相馬主計受け」説が定説になってしまう。

 

 それだったら、へたれとか弱っちいとか役立たずって勘違いされている方がずっとましだ。

 

 ってか、おれのマイナスイメージはどうでもいい。

 

 そこでやっと、試合場の二人にを向けた。

 

 すると、なんと……。

 

 めっちゃ斬り合っている。ようにみえる。

 

 ようにみえるというのは、おれのが超高速モードに対応しきれていないからである。

 

 陽光の下、剣筋と思われる線か、あるいは角度によっては銀色にキラキラ光っているのが剣の軌道なんだろう。

 

 おれだと、しょせんそんな程度である。

 

 周囲だけでなく、試合場を囲む将兵をみまわしてみた。

 

 どのも、だいたいおなじようなものである。

 

 すなわち、なにがどうなっているかさっぱりわからないけど、兎に角すっげーのはすっげーんだなって思っている感じである。

 

 向こう側の副長をみると、っていつの間にかその隣に榎本と大鳥が立っていて、ワインの瓶らしきものをかたむけては湯呑みっぽいものに注ぎ、それを口に流し込んでいる。そのピッチがやけにはやい。

 

 それこそ、勝負をしている二人の動きのごとく。

 

 マジかよ。榎本と大鳥ってば蟒蛇か?

 

 ってか、いくらイベントだっていっても、昼間っから一番偉い人とその次くらいに偉い人が大酒喰らっていていいのか?ってツッコみたくなる。

 

 勝負より唖然としてしまう光景である。

 

 おれだけではない。それは、副長も同様らしい。

 

 副長が榎本と大鳥になにかいいはじめた。

 

 職場のコンプライアンスについてであろうか。

 

 が、それが榎本と大鳥の心に響くことはなさそうだ。

 

 いや、厳密には「酒を控えろ」とか「ここでは吞むな」といった常識的な注意については、どこ吹く風なのかもしれない。

 

 榎本と大鳥にとっては、副長が二人にかまっているということじたいが超ハッピーにちがいない。

 

 二人は、素晴らしき勝負そっちのけで体ごと副長の方に向き、なにかしゃべりまくっている。

 

 しかも、副長が勝負をみることができない位置に立っている。

 

 あの立ち位置は、ぜったいにわざとに決まっている。 副長は、思いあまってか左右にいる隊士たちになにやら命じた。

 

 すると、命じられた隊士たちが数名がかりで榎本と大鳥を抱え、どこかに連行してしまった。

 

 なんてことだ。この箱館政権のツートップを駆除、もとい退場させてしまった。

 

 これは、反乱?謀反?に値するのではないのであろうか?

 

 そんなささやかな一幕があったなかでも、すさまじいのかどうかすらわからぬ勝負はつづいている。 

 

「なにかすごすぎて、もはやすごいのかどうかもわからぬ」

 

 隣で伊庭がつぶやいた。

 

 かれも、おれとおなじようだ。

 

 金属がぶつかり合い、こすれ合う音が、波の音と混じりあう。

 

 それ以外の音はない。

 

 といいたいところであるが、ときおり咳や咳払い、なんらかのつぶやきはする。

 

 とはいえ、が立てる音はおおむね聴こえてこない。ついでに、犬の立てる音も。

 

 どのくらいの攻防がつづいているのだろうか。体感的には、十五分以上つづいているように感じる。それが間違いがなければ、俊冬と俊春のスタミナは相当なものである。

 

 日頃、霞と空気しか摂取していなさそうな二人なのに、どこにあんな力をためていて、どうやってひきだしているのだろう。

 

 もしかしたら、かれら特製のスポーツドリンク同様、プロテインとか栄養バーとか、その他滋養のつくものでもつくって喰っているのかもしれない。

 

 不可思議でならない。このパワーは、いったいどこからわいてくるのか?

 

 そのとき、二人は距離を置いて動きをとめた。

 

 泳ぎつづけていないと死んでしまうマグロ同様、かれらも動きつづけていないと調子が悪くなるらしい。まぁそれはおおげさにしても、やっと動きがとまった。小休止なのだろうか。それとも、さらなる超高速アクションに備え、一息入れようっていうわけなのだろうか。

 

 二人とも、正眼にかまえて相手をみつめている。

 

 このレベルになると、探り合いなどしないのだろう。

 

 意外と本能で動くのかもしれない。勝手に体が反応して動くのかもしれない。

 

 にらみあっているというよりかは、みつめあっているという方が適切な表現かもしれない。

 

 どちらの

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