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止めに入った相手が相手なだけ

止めに入った相手が相手なだけに土方は舌打ちをして三津から手を離した。

三津はすぐさま山南の後ろに隠れた。

 

 

「甘やかしてくれるな。」

 

 

土方は腕を組み,https://bikramyogabeneficios.com/2022/03/19/greenho…

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そっと大部屋の戸を開けば

 そっと大部屋の戸を開けば、平隊士が雑魚寝をしていた。踏まないように忍び込むと、目当ての男の枕元へとしゃがむ。そして肩をそっと揺すった。

 

 

「──ん、何だよ……。桜司郎……」

 

「……八十八君。少し話しがあるの」…

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の慶喜公が恭順だっつってんのに

の慶喜公が恭順だっつってんのに、そこで戦う訳にゃイカンだろ」

 

 

 目の前に運ばれた膳にある味噌汁をズズッと啜りながら、眉を寄せる。

 

 それに、と言葉を続けた。

 

 

「今や、江戸にいる幕僚の連中は殆どが恭順派だ。…

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その背後に薩摩の援護は無かった

その背後に薩摩の援護は無かった。つまり、沖田が懸念していた彼らとの一戦が火種になることは、結果的に無いということが分かった。

 

 

 

「…………沖田さんは、大丈夫か。あれだけ慕っていた局長があのようなことになったんだ。穏やかでは居られまい」…

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「……総司は戦には出さんと言っただろう」

「……総司は戦には出さんと言っただろう」

 

「戦が始まるまでの話しです。大坂には雨が降っているから来られなかっただけでしょう」

 

 

 その言葉を聞き、土方は眉を寄せる。確かに今すぐに戦が起こる訳では無い。ただ、いつ火蓋が切って落とされるかは分からないのだ。わざわざそこへ病身の沖田を置くことは躊躇われる。…

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十二月十二日、将軍である徳川慶

十二月十二日、将軍である徳川慶喜は既に大坂へ旅立ってしまっていたが、言いつけ通りに新撰組は二条城へ赴いた。

 

 

 しかし、同様に警護を任されていた水戸藩とぶつかることになる。今や名を失くした徳川の幕府ではあるが、その実体や元の威光まで無くなった訳では無かった。…

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もフリーズしてしまっている。

もフリーズしてしまっている。

 

「いやー、土方君はなかなか熱いじゃねぇか。うらやましいかぎりだよ」

 

 さらには、榎本まで。

 

「ウイ」

 

 さらにさらに、https://ameblo.jp/freelance12/entry-12825474606.ht…

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「ちょっ……。

「ちょっ……。なにゆえ?なにゆえみなさんとおなじことをいっただけなのに、おれだけ受けになるんですか?」

「なにゆえか、おまえがいうとそのようにきこえるのでな」

「蟻通先生、そんなわけないでしょう?」

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大鳥もやってきた。

大鳥もやってきた。

 

 副長は、大鳥と肩をならべて俊春の話をきいていた。それからしばらくすると、副長は手招きをしておれたちを呼びよせた。

 

 って、おれも呼ばれているってことでいいんだよな?

 

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戦の火ぶたがきられると

 戦の火ぶたがきられると、会津藩の兵卒たちはソッコーで逃げだすらしい、ということもつけくわえておいた。

 

 じつは、戦端がひらかれると同時に撤退命令がだされることになっている。

 第三台場が本陣になるのであるが、第一と第二の台場は、あ…

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止めに入った相手が相手なだけ

止めに入った相手が相手なだけに土方は舌打ちをして三津から手を離した。

三津はすぐさま山南の後ろに隠れた。

 

 

「甘やかしてくれるな。」

 

 

土方は腕を組み,https://bikramyogabeneficios.com/2022/03/19/greenho…

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そっと大部屋の戸を開けば

 そっと大部屋の戸を開けば、平隊士が雑魚寝をしていた。踏まないように忍び込むと、目当ての男の枕元へとしゃがむ。そして肩をそっと揺すった。

 

 

「──ん、何だよ……。桜司郎……」

 

「……八十八君。少し話しがあるの」…

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の慶喜公が恭順だっつってんのに

の慶喜公が恭順だっつってんのに、そこで戦う訳にゃイカンだろ」

 

 

 目の前に運ばれた膳にある味噌汁をズズッと啜りながら、眉を寄せる。

 

 それに、と言葉を続けた。

 

 

「今や、江戸にいる幕僚の連中は殆どが恭順派だ。…

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その背後に薩摩の援護は無かった

その背後に薩摩の援護は無かった。つまり、沖田が懸念していた彼らとの一戦が火種になることは、結果的に無いということが分かった。

 

 

 

「…………沖田さんは、大丈夫か。あれだけ慕っていた局長があのようなことになったんだ。穏やかでは居られまい」…

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「……総司は戦には出さんと言っただろう」

「……総司は戦には出さんと言っただろう」

 

「戦が始まるまでの話しです。大坂には雨が降っているから来られなかっただけでしょう」

 

 

 その言葉を聞き、土方は眉を寄せる。確かに今すぐに戦が起こる訳では無い。ただ、いつ火蓋が切って落とされるかは分からないのだ。わざわざそこへ病身の沖田を置くことは躊躇われる。…

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十二月十二日、将軍である徳川慶

十二月十二日、将軍である徳川慶喜は既に大坂へ旅立ってしまっていたが、言いつけ通りに新撰組は二条城へ赴いた。

 

 

 しかし、同様に警護を任されていた水戸藩とぶつかることになる。今や名を失くした徳川の幕府ではあるが、その実体や元の威光まで無くなった訳では無かった。…

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もフリーズしてしまっている。

もフリーズしてしまっている。

 

「いやー、土方君はなかなか熱いじゃねぇか。うらやましいかぎりだよ」

 

 さらには、榎本まで。

 

「ウイ」

 

 さらにさらに、https://ameblo.jp/freelance12/entry-12825474606.ht…

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「ちょっ……。

「ちょっ……。なにゆえ?なにゆえみなさんとおなじことをいっただけなのに、おれだけ受けになるんですか?」

「なにゆえか、おまえがいうとそのようにきこえるのでな」

「蟻通先生、そんなわけないでしょう?」

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大鳥もやってきた。

大鳥もやってきた。

 

 副長は、大鳥と肩をならべて俊春の話をきいていた。それからしばらくすると、副長は手招きをしておれたちを呼びよせた。

 

 って、おれも呼ばれているってことでいいんだよな?

 

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戦の火ぶたがきられると

 戦の火ぶたがきられると、会津藩の兵卒たちはソッコーで逃げだすらしい、ということもつけくわえておいた。

 

 じつは、戦端がひらかれると同時に撤退命令がだされることになっている。

 第三台場が本陣になるのであるが、第一と第二の台場は、あ…

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止めに入った相手が相手なだけ

止めに入った相手が相手なだけに土方は舌打ちをして三津から手を離した。

三津はすぐさま山南の後ろに隠れた。

 

 

「甘やかしてくれるな。」

 

 

土方は腕を組み,https://bikramyogabeneficios.com/2022/03/19/greenhouse-kits-will-save-you-money-on-food-cost-high-blood-pressure-health-cost/ https://blog.goo.ne.jp/debsy https://blog.littlecallings.com/what-are-call-options-how-to-trade-them/  鋭い眼光を山南の後ろの三津に向ける。

 

 

「甘やかすも何も,さっきのは土方くんが大人げないだけだろう。

お三津ちゃんはまだ仕事の途中なんだし。」

 

 

困惑した表情の山南の後ろで三津は首を縦に振って少しだけ顔を覗かせる。

 

 

「そうです,お三津ちゃんはまだ仕事の途中なんです。返してもらえます?

ご飯も冷めてしまいますから続きは後でどうぞ!」

 

 

 

殺気を含んだたえの笑顔に逆らえる者はいなかった。

 

 

たえのお陰でようやくご飯の続きが食べられる。

隊士たちは心の中でたえに礼を述べて,もう一度手を合わせてから夕餉にありついた。

 

『一人で苛立っても埒があかねぇ…。』

 

 

夕餉の後,土方は近藤と山南を呼んだ。

 

 

「三津がお梅に見つかった。」

 

 

それを聞いた二人は唸りながら顎をさすった。

 

 

「きっと芹沢さんの耳には入るだろうね。

もう隠すのは止めるかい?」

 

 

山南は挨拶ぐらいはいいじゃないかと言ってみるが土方は頑なに拒んだ。

 

 

「もう今更だ。あいつにも関わるなとはきつく言ってある。

近々いなくなる奴らだ。顔見知りより赤の他人のままの方がいいだろ。」

 

 

 

そう力説する土方に山南は目を丸くしてからくすりと笑った。

 

 

「何がおかしい。」

 

 

ただでさえ不機嫌な土方は眉間に深いシワを刻む。

 

 

「いや,別に?」

 

 

何だかんだ言って三津を心配してると感じたけれど,そう正直に言えばまた怒るだろうな。

 

 

山南はそのまま何も言わずに心にしまった。「それで芹沢さんがお三津ちゃんに会わせろと言って来たらどうするんだい?」

 

 

芹沢と言う男は一筋縄ではいかない男。

だが土方だって何の策も持ってない訳がない。

 

 

「まぁ今はお梅がいるからな。興味を示さなければ有り難いが,一応考えはある。」

 

 

そうだと思ったと近藤も山南もふっと笑った。

 

 

「そうか,お三津ちゃんは歳が連れて来た子だから私は歳に任せるとしよう。」

 

 

近藤の信頼も得て土方は自信に満ちた笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日何も知らない三津は屯所の周りの掃除に励んでいた。

 

 

道場から響く隊士たちの声と竹刀のぶつかる音を聞きながら箒を動かす。

壬生寺からは子供たちの賑やかな声がしていた。

 

 

『最近小さい子と遊んでへんなぁ…。』

 

 

屯所内にいても子供たちの声は聞こえていたけど,隣の八木邸には近づいてはいけないから覗きに行きたいのを我慢していた。

 

 

俯いて落ち葉を掃いているとふと視線を感じた。

顔を上げれば一人の少年がじっと三津を見ていた。

 

 

「姉ちゃん見かけん顔やけど新しい女中さんか?」

 

 

三津と目が合うと遠巻きに声をかけてきた。

 

 

「はい!三津です!」

 

 

声をかけてもらえただけでも嬉しくて,顔が綻ぶ。

 

 

三津の表情を見た少年は小走りで駆け寄ると,

 

 

「こっち来て!」

 

 

手首を掴んで壬生寺の境内へと引っ張り込んだ。

 

 

土方に見つかれば怒鳴られてしまうと困惑しながらもついて行った。

 

 

「姉ちゃんもうち来たらアカンって言われてんのやろ?」

 

 

「八木さんとこの息子さん?」

 

 

三津が首を傾げると少年は為三郎だと名乗った。

 

 

「初めましてやね。

確かに行ったらアカンって言われてるねん。」

 

 

そう言うと為三郎はやっぱりと小さく口を動かした。

 

 

「あいつらのせいでうちの父ちゃんも悪者呼ばわりされるし,誰もうちに寄りつかん。

あんな奴ら住まわせてる父ちゃんも阿呆やけど。」

 

 

為三郎は文句を言いながら寂しそうに俯いた。

 

 

そんな為三郎の頭を優しく撫でてあげた。

 

 

「ホンマに阿呆かなぁ?

お父ちゃんは新選組の役に立ってるんやで?

周りに何て言われても役目を果たしてるんやから立派やと思うけどなぁ。」

 

 

為三郎の目線に合わせて屈むが,ふてぶてしくそっぽを向かれてしまった。

 

 

「為三郎はんのお父ちゃんが阿呆やったら私も阿呆やな。」

 

 

彼らの為に頑張る阿呆だと笑ってみせた。

そっと大部屋の戸を開けば

 そっと大部屋の戸を開けば、平隊士が雑魚寝をしていた。踏まないように忍び込むと、目当ての男の枕元へとしゃがむ。そして肩をそっと揺すった。

 

 

「──ん、何だよ……。桜司郎……」

 

「……八十八君。少し話しがあるの」

 

 

 声を潜めて言えば、https://www.liveinternet.ru/users/freelance12/post502271871//  https://www.bloglovin.com/@freelancer10/12246860 https://lefuz.pixnet.net/blog/post/121206175 山野は寝ぼけ眼を擦りながらゆっくりと起き上がる。存外に寝起きが良いのか、三回ほど目をぱちぱちさせれば、しっかり目蓋が開いた。

 

 廊下へ連れ出すなり、肩を抱いて震えている。

 

 

「おお、寒……ッ。んで、どうしたんだ……こんな夜更けに」

 

「……此処じゃ話せないから、私の部屋へ来てくれる?」

 

 

 只事ではないと思ったのか、山野は肌蹴た寝巻きの袷を閉じると、大人しく桜司郎の後に続いて歩いた。

 

 

 部屋の中は、真ん中に置かれた小さな火鉢のお陰かほんのりと暖かい。

 

 彼はそれに飛びつくように座ると、鼻を啜りながら桜司郎を見上げた。

 

 

「い……、生き返ったぜ……。で、話って?」

 

「いきなり起こしてごめんね。八十八君にしか話せないことがあって……」

 

 

 そのように切り出せば、たちまち山野は真剣な顔付きになる。

 

 それを見た桜司郎は榎本の名は伏せたまま、一部始終を話した。

 

 

 

「──つまり。このまま甲府へ出立すれば、俺たちはただの捨て駒にされるってことか」

 

「憶測の範疇は越えないのだけど……私はそう思っているの。だから、どうしても籠城を避けなければいけない」

 

 

 薄暗い部屋の中のため、山野の表情はいまいち見えにくい。だが、小さく息を呑んだことは分かった。

 

 

「……一体何だって、局長と副長はそれを良しとしたんだろうな。伏見の二の舞になるだけじゃないか。これではまるで……」

 

 

 その言葉にドキリとする。やはり誰が聞いても同じことを思うものなのだろうか。

 

 この反応ならいける、と桜司郎は口を開いた。

 

 

「……お願い、八十八君。私の策に協力してくれないかな。何かあった時の責任は取るから……」

 

 

 懇願するようなか細い声が室内に響く。

 

 

「──良いぜ、乗った。俺は桜司郎の友だからな、お願いなんかされなくったってやるよ。バレて腹を切れって言われたら一緒に死のうぜ」

 

 

 全く迷うことなく、さっぱりと山野は言った。そのの厚さに、先程我慢した涙が出そうになったが、何とか堪える。

 

 

「あ、有難う。有難う……!」

 

「やめろよ、照れ臭い。礼は成功してから言ってくれよな。で、俺は何をすれば良いんだ?」

 

「ええと────」

 

 

 必死に考えた策を耳打ちすれば、山野は大きく頷いた。 三月一日、新撰組改め甲陽鎮撫隊は慣れたばかりの屯所を離れた。

 

 負傷している近藤は、小身の大名が使うような法仙寺駕籠へ乗り込み、土方は黒毛の美しい馬に乗った。また、出陣に伴い、二人はそれぞれと名乗った。近藤と土方では名が知れているため、あくまでも新撰組とは別だとしたいのだろう。

 

 

 その煌びやかな行軍を見た町人の誰かが、「景気が良くて縁起物だ」「粋だ」と誉めそやす。

 

 

 列の一番後ろに位置する沖田の乗る駕籠の近くを歩く桜司郎は、硬い表情だった。

 

 

 その時、悪戯な風が吹き、それに乗って「兄さん」と聞こえる。

 

 

 それに釣られるように顔を上げれば、道の端に列を成して群がる町人に紛れるようにして、の姿があった。

 

 今日のことを榎本から聞いたのだろう。切なげに瞳を潤ませ、胸の前で固く手を握っていた。

 

 祈るような姿を見るなり、つきんと腹の奥が痛む。

の慶喜公が恭順だっつってんのに

の慶喜公が恭順だっつってんのに、そこで戦う訳にゃイカンだろ」

 

 

 目の前に運ばれた膳にある味噌汁をズズッと啜りながら、眉を寄せる。

 

 それに、と言葉を続けた。

 

 

「今や、江戸にいる幕僚の連中は殆どが恭順派だ。https://www.bloglovin.com/@freelancer10/12245772 https://lefuz.pixnet.net/blog/post/121026982 http://janessa.e-monsite.com/blog/--80.html   陸軍総裁の勝ナントカって御仁もその筆頭だと聞き及ぶが……。何たって、の総裁サマも同じ有様だぜ。情けねえったらありゃしない。それでも江戸っ子かって話しサ」

 

 

 それを聞いた桜司郎は、雲行きの怪しさに顔を歪める。

 

 つまり憶測の範疇は超えないが、幕府は江戸での衝突を回避するために兵力を遠ざけようとしているのではないか。会津や桑名は帰るところがある上に、話せば上手く宥められる。しかし中途半端に力を持ってしまった浪人集団は、あれこれと理由を付けて餌を放らないと出て行かないと思ったのではないだろうか。

 

 

「それじゃあ、新撰組は……。幕府から捨て駒にされた可能性が高いということ……?」

 

「何とも言えねえが……。万が一にも勝てりゃあ、それはそれで良し。負けても新撰組が勝手にやったことだと言い逃れは出来るなァ」

 

「そんな…………」

 

 

 

 ありうる話だと目の前が暗くなった。「新撰組──甲陽鎮撫隊ってのはァ、先に城へ入る手筈なんだろう?足並みも揃って無ェ兵士が籠城をするのは悪手な気がするな。援軍は見込めるのかえ?」

 

 

 その問いに桜司郎は首を振った。いくら善戦したとしても、あくまで恭順を決めている幕府が援軍など差し向ける訳がない。

 

 

「そういう話は……」

 

「そうか……。俺も今の管轄は海軍だからなァ……。力になれそうも無ェや。すまねえ、兄!」

 

 

 榎本は眉を寄せると、胡座をかいた膝に両手を置き、ガバりと頭を下げた。

 

 それを見て桜司郎は慌てる。

 

 

「あ、頭などそう下げてくれるな。釜に負担を強いたくて相談したつもりでは……」

 

 

 そこまで言って閉口した。籠城の果てにあるものは何だったろうかと、昔に読んだ軍記物を思い出そうと頭を捻る。

 

 遠い記憶が脳裏を掠めるなり、たらりと汗が背を伝った。

 

 

 籠城したとて、薩長の本拠地は西にある。次々と湧いて出てくる敵をどのように止められるというのだろうか。銃弾も兵糧にも限りがある上に、刀も折れてしまえばそれまでだ。その間に幕府と薩長の間に講和が成れば、それこそただの犬死にではないか。

 

 

──もし上手く甲府城へ入れたとしてもその先が無い。援軍も退路も無い籠城に未来などあるものか。

 

 

 

「…………私たちは、になりたくてここまで来た訳じゃない……」

 

 

 いつの間にか拳は固く結ばれ、ボヤくようなそれは酷く虚しい響きを伴っていた。

 

 

「桜之丞兄…………」

 

「だって、そうでしょう。伏見でどれだけの犠牲を払ったと思っている……。為す術もなく、目の前であまりにも多くの人間が死んでいったというのに……」

 

 

 銃弾や怒号が飛び交い、血溜まりが出来た戦場を必死に駆けた時の恐ろしさが何度も浮かんでは消える。

 

 涙が出そうになり、慌てて天井を仰いだ。「……どうにか、その話しを断れねえモンかね。せめて、籠城を避けられれば……」

 

 

 榎本は腕を組みながら、大きな溜め息を吐く。

 

 その時、「それだ」と桜司郎が呟いた。

 

 

「それだ……それだよ、釜。籠城にさえならなければ、助かる道がある」

 

「け、けどよ。入城して迎え撃つようにと言われたンだろう?」

んだ……。そうすれば、こちらは撤退せざるを得なくなる……!」

 

 

 地図は無いかと要求すれば、慌てて榎本は江戸のそれを持ってくる。宿の主から借りてきたらしい。

 

 

「甲府までは……この甲州街道を通るだろう」

 

 

 桜司郎はスッと甲府へと続く街道をなぞった。そしていくつかの宿場を指差す。

 

 

「兄、そこは……八王子辺りか?」

 

「そう。上石原宿がある。ここは局長の御出生地なんだ。故郷に錦を飾ることを進言すれば……。ああ、少しは希望が見えてきた」

その背後に薩摩の援護は無かった

その背後に薩摩の援護は無かった。つまり、沖田が懸念していた彼らとの一戦が火種になることは、結果的に無いということが分かった。

 

 

 

「…………沖田さんは、大丈夫か。あれだけ慕っていた局長があのようなことになったんだ。穏やかでは居られまい」

 

 

 山口の言葉に、桜司郎は首を横に振る。https://www.tumblr.com/crispyvoidtyrant/736495539597787136/%E3%81%97%E3%81%84%E6%84%9F%E6%83%85%E3%81%8C%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%A0%E3%81%AA%E3%82%93%E3%81%A6 https://freelance1.amebaownd.com/posts/50179484 https://community.joomla.org/events/my-events/re-sono-yankara-xiao-yanha-xiaoeteiru.html その脳裏には、ここ数日の沖田の様子が浮かんでいた。醒ヶ井に居る時は活力を取り戻したかのように見えたが、気力を失ったように再び寝込み始めたのだ。

 

 だが桜司郎の前では食事も摂るし、笑うこともあるが、それすら痛々しく見える。

 

 

──本当は泣きたいだろうに。私が無理をさせているのかもしれない。

 

 

「…………そうですね。お辛いと思います」

 

 

 俯いては寂しげな声を出す桜司郎を横目で見遣りながら、面白くないと山口は目を細めた。

 

 

「それにしても……、アレは良かった」

 

「アレとは?」

 

「あんたの啖呵だ。あのお陰で原田さんも目が覚めただろう。一度言い出したら引っ込みが付かない人だからな、安心したのではないか」

 

「た、啖呵というか……、あの時は必死で……!生意気を申しました……」

 

 

 慌てつつ頬を染めるその姿を見ていると、まるでアレは別人のようだと口角を上げる。

 

 

 

 そうしていると山口は他の隊士に呼ばれてしまったため、桜司郎は沖田の居る奥の部屋へと向かった。

 

 

 しかし──

 

 

「沖田先生…………?入りますよ」

 

 

 何度呼び掛けても返事が無い。寝ているのかと、恐る恐る中を覗くと、居るはずの布団はもぬけの殻だった。

 

 目を見張ると、急いで沖田の行きそうなところを探す。厠や厨、近藤の療養している部屋も当たってみたが、その姿は見えなかった。──沖田先生、どこ……。

 

 

 冬は日が暮れるのが早い。あっという間に西陽が傾き始めていた。

 

 裏庭に伸びる廊下へ差し掛かったあたりで話し声が聞こえ、桜司郎は思わず立ち止まる。

 

 

 気配を消しつつ、柱の影から顔を出した。

 

 

 すると、そこには土方と木刀を手にした沖田が立っている。しかも沖田に至っては、着流しに肩へ羽織を掛けただけだった。身を切るような寒空の下で、綿入れも重ねずに居るとは狂気の沙汰としか思えない。

 

 だがとても声を掛けられるような雰囲気では無かった。不本意ながらも立ち聞きをするような形になる。

 

 

 

 

「──桜司郎さんはね、あの残党を見付けた時に始末してしまおうと言ったんです。でも、それを私が止めてしまった」

 

 

 独り言のように呟くそれを、土方は厳しい顔で黙って聞いていた。

 

 

「あれくらいの奴ら………やろうと思えば大した騒ぎにせずに何とかなったはずです。……命が短くなると、臆病風が吹くものなんですかね。もう私は、」

 

 

 その刹那、沖田は咳き込む。近寄ろうとした土方を片手で制した。指の隙間から血が滴るが、それを慣れた手付きで懐紙で拭き取る。喀血してから時がそれなりに経った証だろう。

 

 

「私は、剣士ではなく、心までも病人になってしまったと言うことです」

 

「……あれは、お前のせいじゃない。もっと徹底的に残党狩りを指示しなかった俺のせいだ」

 

 

 俯き、拳を握る土方の目には怒りがあった。それは目の前にいる男へのものではなく、遠い過去を見るようなものである。

 

 

──いっそのこと、早く戦になっちまえばいい。

 

 

 日々募る重苦しさに、そう思っていた。けれども、その隣に近藤勇は居ないのだ。今までずっと此処ぞという時には彼が隣に立ち、支え合って来たと言うのに。そして修羅の如き腕を持つ沖田も病身だ。

 

 この時、初めて土方は迫り来る戦が恐ろしいと感じた。

「……総司は戦には出さんと言っただろう」

「……総司は戦には出さんと言っただろう」

 

「戦が始まるまでの話しです。大坂には雨が降っているから来られなかっただけでしょう」

 

 

 その言葉を聞き、土方は眉を寄せる。確かに今すぐに戦が起こる訳では無い。ただ、いつ火蓋が切って落とされるかは分からないのだ。わざわざそこへ病身の沖田を置くことは躊躇われる。

 

 

「……副長の気持ちも分かります。しかし、https://www.liveinternet.ru/users/carinacyril786/post502400219// https://www.bloglovin.com/@carinacyril/12261296  https://carinacyril786.pixnet.net/blog/post/122397451 沖田先生を長期間おひとりにしておく方が危険です。…………お耳を、」

 

 

 そう言うなり、桜司郎は土方の耳に口を寄せた。そしてある事を告げる。

 

 それは、隊士の一人である小林啓乃助という男が怪しい動きを見せているということだ。恐らくは間者ではないかという見立てである。

 

 

「…………それは、確かなのか」

 

「ええ。不動村では屋敷が広すぎたが故に気付きませんてしたが……。道中、こそこそと辺りを見渡したと思えば、何やら書き付ける様子がありました。それとなくその一部を拝借したのがコレです」

 

 

 懐から紙切れを取り出すと、目の前へ差し出した。そこには、"沖田 近藤妾宅ニテ療養ス 護衛ナシ"と書かれている。見ようによっては、襲撃を促すものに見えなくもない。

 

 そもそも一番組でもなく、世話になっていない彼が沖田を気にかける道理はない。むしろ、派として動いていたという声すら上がっている。

 

 

「……いくら病に冒されているとはいえ、沖田先生を狙おうとする輩は多いです。それに、近藤先生のお妾さんや子も危険に晒されます」

 

 

 その証拠と言葉が迷える背中を一押ししたのか。

 

 

「…………分かった。明後日、十六日には俺たちも伏見奉行所へ詰める。その日は総司の部屋も出来上がってねえだろうから、十七日の昼までに合流してこい」

 

「はい……!有難うございます!」

 

「……ったく、お前さんは本当に総司のこととなると、目の色が変わるな。妬けちまうぜ。たった二日も無いだろうが……逢瀬として楽しんだらどうだ」

 

 

 呆れた口調ながらも、その瞳は温かみを帯びている。沖田が兄と慕うだけのことはあり、弟の恋を見るようなそれだった。

 

 

「お、逢瀬って…………。からかわないで下さい。では、もう出ますので」

 

 

 頭を下げて去ろうとするが、その背へ声が掛けられる。

 

 

「待て、永井様が逢いたいとのことだ。せめて挨拶だけでもしておけ」 土方の促しにより、桜司郎は永井の元を訪ねた。境内は叩き付けるような雨のせいで、いくつもの水溜まりが出来ている。

 

 それを眺めるように、社殿の壁に背を預けながら目を細めていた。

 

 

「……おお、来たか。鈴木桜司郎君」

 

「……失敬、今は桜司郎と名を改めております」

 

 

 そのように言えば、永井は驚きの色を濃くする。

 

 

「榊君……。その苗字を名乗るということは……思い出したのか?なら、話しは早い……。ワシに着いてこんか。お主のような逸材が前線に立つことはあるまい」

 

 

 勘繰るような視線を向けられ、桜司郎は俯く。根からのであり、それも神童と持て囃された榊家の跡取りだ。然るべき位置にいるべきだと永井は云う。

 

 悪気は無いのだろうが、まるで前線で戦う者が使い捨ての駒のように聞こえてならなかった。

 

 

「……残念ながら。ただ私を拾って下さった女人の苗字を借り受けたに過ぎません。それに……長い間時勢に取り残された人間に出来ることと言えば、で戦うことだけです」

 

 

 全てでは無いが、記憶を取り戻したことは伏せておく選択をする。今は桜之丞ではなく、桜司郎の生なのだ。過去に囚われすぎるのも良くない。

 

 

「気を悪くしたか……?まあ、良い。深くは問わん。野暮というものじゃな」

 

「そうして頂けますと嬉しいです」

十二月十二日、将軍である徳川慶

十二月十二日、将軍である徳川慶喜は既に大坂へ旅立ってしまっていたが、言いつけ通りに新撰組は二条城へ赴いた。

 

 

 しかし、同様に警護を任されていた水戸藩とぶつかることになる。今や名を失くした徳川の幕府ではあるが、その実体や元の威光まで無くなった訳では無かった。

 

 近藤は丁重に挨拶へ向かったが、https://blog.udn.com/29339bfd/180136688  https://mathewanderson.blog-mmo.com/Entry/3/ https://ypxo2dzizobm.blog.fc2.com/blog-entry-67.html  新撰組などお呼びで無いと一蹴されてしまう。いくら命で来たと言えども、聞く耳さえ貸して貰えなかったのだ。

 

 

「所詮は浪士崩れだとでも言いてえのだろう……」

 

 

 行き場を無くし、一度不動村屯所へと戻った土方は舌打ちをする。いくら功績が認められて幕臣まで登り詰めたとはいえ、それはだけだったのだと痛感させられた。恩賞の額面と、肩書きが変わったところで、周囲の認識が変わらなければ意味が無い。

 

 結局は新撰組を良く知らぬ者から見ると、逆立ちしても出は多摩の百姓であり、乱暴な浪士の集まりなのだ。

 

 

「戦が始まるかも知れねえってのに……形ばかり気にする奴らばかりじゃ、どうしようも無えな……。これじゃ先が思いやられる」

 

 

 呆れたように永倉は肩を竦める。

 

 思えば世が乱れ始めてから、割と年月が経ったはずだ。黒船がやって来ても、港が開港させられても、天誅が流行っても、時の大老が暗殺された時でさえ、暮らしには何一つ変化が無かった。だからだろうか、時勢が他人事のように思えてならぬのだろう。

 

 明日も明後日も、この先も、ずっと泰平の世が続くと漠然とした思いになるのだ。

 

 

 目の前で親しき者が殺され、家が焼かれ、砲弾の脅威に晒されてから、そこで漸く不変など無いことに気付くに違いない。

 

 

 薩長──特に長州なんかはどの藩よりもそれを体感した。故に幕府との温度差が激しいのだろう。

 

 

 

「まあまあ。そこで活躍すんのが、俺たち喧嘩屋の新撰組だろう?」

 

 

 永倉の肩へ腕を置いた原田は、袖を捲りあげてはニヤリと笑った。力こぶを作ってはそれを叩く。

 

 それを苦笑いしながら聞いていた土方は、眉を寄せた。

 

 

「ああ、その通りだ」「だが、この後はどうする。二条城の警護も出来ねえとなっちゃ、俺たちの立つ瀬が無いぜ」

 

 

 永倉の言葉に、ずっと黙っていた近藤が口を開く。

 

 

「永井様へ相談したところ、護衛として共に下坂することとなった。結局のところ、上様が直々に水戸藩へ二条城の留守を守るように命じられたらしい。我らも大坂へ馳せ、真意を伺おうという話しだ」

 

「流石は近藤さんだよォ。根回しが早いねェ」

 

 

 井上は感嘆の声を上げた。会津は守護職を解かれた後に、慶喜と共に下坂している。ならば以前より新撰組を懇意としてくれている永井を頼るのが正しいだろう。

 

 

「……そういう事だ。直ぐに出立の支度をする。……っと、その前に。"新遊撃隊御雇"だが、返上した。俺たちは新撰組で在りてえと言ったら、意外とすんなり承諾してくれたよ」

 

 

 それを聞いた一同は歓喜の声を上げた。

 

 

 だが、浮かない表情をした者が一人いる。それを目の端に見付けた山口は、結んでいた口を開いた。

、何か心配事でもあるのか」

 

 

 桜司郎は、先日苗字を榊へと改めたのだ。桜之丞としての記憶を思い出したことが一番大きい要因ではあるが、一人で榊の家を守り続けた藤への敬意でもある。

もフリーズしてしまっている。

もフリーズしてしまっている。

 

「いやー、土方君はなかなか熱いじゃねぇか。うらやましいかぎりだよ」

 

 さらには、榎本まで。

 

「ウイ」

 

 さらにさらに、https://ameblo.jp/freelance12/entry-12825474606.html  https://www.liveinternet.ru/users/freelance12/post501642670//  https://plaza.rakuten.co.jp/aisha1579/diary/202310210011/ ブリュネの謎同意もついてきた。

 

 中島が酒をぶっとふきだし、尾形がうに丼をふいた。そして、蟻通の鼻からみそ汁がどばーっと流れでた。

 

 ちょっ……。

 

 すごいぞ蟻通。

 

「鼻からみそ汁」だ。

 

 それは兎も角、もしかして、虐待は虐待でもフツーの虐待ではなくそっち系の暴力か、あるいはそっち系のプレイと勘違いされている?

 

 ってかそれがうらやましいって、どういうこと?

 

「主計ーーーーーーーっ!」

 

 地をはうような副長の低音の声にはっとした。

 

「八郎を押し倒すだけじゃ物足りず、つぎはおれを陥れやがって」

「い、いえ、ち、ちがいます。そんなつもりはまーったくありませんでした。おれはただ、副長の日頃のおこないをチクりたかっただけで……」

 

 ダメだ。

 

 副長は、いまにも「兼定」を抜きそうだ。

 

「も、申し訳ありません。許して、許して……、い、いやーーーーっ」

 

 誠心誠意謝罪しているというのに、副長が斬りかかってきた。

 

 な、な、なんと。剣術大会ではついぞみせなかった超神速の居合抜きが、いまこのタイミングで炸裂したのである。

 

 迷う必要などない。

 

 胸元に抱えている盆を放りだすと、背を向け一目散に逃げた。

 

「まちやがれっ!」

 

 当然、副長は追いかけてくる。

 

「みたかい?ぼくは口惜しいよ」

「そうだよな。おれも土方君に追いかけられてぇよ」

「ウイ」

 

 そんな大鳥ら三人の見当違いの言葉を背中でききつつ、廊下にでて隊士たちを踏みつけにしながら必死で逃げまどった。

 

 その後、追いかけまわされた挙句「兼定」に尻を蹴っ飛ばされてしまった。

 

 この「兼定」というのは、刀ではなく相棒のことである。

 

 副長に命令された相棒は、うしろ脚でおれの尻を蹴っ飛ばしたのである。

 

 これで副長は、立派なハンドラーになれたってわけだ。

 

 ってか、相棒よ。馬じゃあるまいし、うしろ脚で蹴っ飛ばすか?

 

 もっとも、安富のお馬さんたちに蹴っ飛ばさられるよりかはずっとマシだが。

 

 なにはともあれ、おれはマジで愛されいてるんだ。

 

 あらためて実感したこの夜であった。

 

 結局、招かざるおおくの客人たちは、さんざん呑み喰いしてそのまま寝落ちしてしまい、称名寺で一夜を明かした。

 

 そのため、おおくの隊士たちが称名寺の敷地内に筵を敷いて眠るという、なんともいえぬ状況に陥ったわけである。

 

 まぁこんな破天荒ぶりも、今後はできなくなってしまう。

 

 これが、最後の無礼講だったのかもしれない。 その翌日、二股口にでかけた。

 

 メンバーは、副長と島田と蟻通と安富と俊冬と俊春と相棒とおれである。

 

 二股口での戦いは、土方歳三が新政府軍を二度も撃退したことで有名である。

 

 この戦いでの勝利は、土方歳三が人斬り集団「新撰組」の「鬼の副長」というよりかは、策略・用兵に長けた参謀であることを証明している。

 

 残念ながら、現代で二股口を訪れたことはなかった。

 

 山深く、羆のテリトリーであるがためにそう簡単にいけるものではないからである。

 個人での訪問は要注意で、現地のガイドさんに案内してもらうほうがいいようなことを、だれかのブログでみたことがある。

 

 ツアーなどに参加すれば、訪れることができるはずである。

 

 現代でも、このときの戦いの胸壁や土塁が残っているという。

 

 おれはそれを、NHKなどの特集でみたことがある。

 

 それは兎も角、いま現在は当然のことながらまだなにもない。

 

 偵察をおこなった上で、はやめに土塁胸壁をつくって備えておこう、ということになったわけである。

 

 二股口までは、安富のお馬さんにのせていただいた。

 

 いまやすっかり「安富のお馬さん」になってしまっているお馬さんたちは、副長でさえのるまえにのせてくれるようお願いしなければならない。

 

 今回は、俊冬と俊春も現地まではお馬さんにのせてもらっている。

 

 自分の脚で駆けているのは、相棒だけだ。

 

 道中、俊冬と俊春と映画や漫画の話で盛り上がってしまった。

 

「もしかして、飛んでくる

「ちょっ……。

「ちょっ……。なにゆえ?なにゆえみなさんとおなじことをいっただけなのに、おれだけ受けになるんですか?」

「なにゆえか、おまえがいうとそのようにきこえるのでな」

「蟻通先生、そんなわけないでしょう?」

 

 そんなわけがあるか。

 

 全力で否定したい。

 

 ああ、おれのイメージはBL、https://blog.udn.com/79ce0388/179990829 https://freelancer.anime-voice.com/Entry/59/ https://ypxo2dzizobm.blog.fc2.com/blog-entry-61.html   衆道、受けじゃないか。

 

 とんだ誤解である。

 

 あともうすこし時間があれば、合コンでもやって彼女をみつけられたかもしれないのに。

 

「無理無理」

「無理無理」

「無理無理」

「無理無理」

 

 心のだだもれの声に、ソッコーで否定されてしまった。

 

 しかも、伊庭にまで。

 

 ってか、合コンってしっているのか?

 

 どちらにせよ、だめだ。

 

「野村利三郎たたぬ」説同様、「相馬主計受け」説が定説になってしまう。

 

 それだったら、へたれとか弱っちいとか役立たずって勘違いされている方がずっとましだ。

 

 ってか、おれのマイナスイメージはどうでもいい。

 

 そこでやっと、試合場の二人にを向けた。

 

 すると、なんと……。

 

 めっちゃ斬り合っている。ようにみえる。

 

 ようにみえるというのは、おれのが超高速モードに対応しきれていないからである。

 

 陽光の下、剣筋と思われる線か、あるいは角度によっては銀色にキラキラ光っているのが剣の軌道なんだろう。

 

 おれだと、しょせんそんな程度である。

 

 周囲だけでなく、試合場を囲む将兵をみまわしてみた。

 

 どのも、だいたいおなじようなものである。

 

 すなわち、なにがどうなっているかさっぱりわからないけど、兎に角すっげーのはすっげーんだなって思っている感じである。

 

 向こう側の副長をみると、っていつの間にかその隣に榎本と大鳥が立っていて、ワインの瓶らしきものをかたむけては湯呑みっぽいものに注ぎ、それを口に流し込んでいる。そのピッチがやけにはやい。

 

 それこそ、勝負をしている二人の動きのごとく。

 

 マジかよ。榎本と大鳥ってば蟒蛇か?

 

 ってか、いくらイベントだっていっても、昼間っから一番偉い人とその次くらいに偉い人が大酒喰らっていていいのか?ってツッコみたくなる。

 

 勝負より唖然としてしまう光景である。

 

 おれだけではない。それは、副長も同様らしい。

 

 副長が榎本と大鳥になにかいいはじめた。

 

 職場のコンプライアンスについてであろうか。

 

 が、それが榎本と大鳥の心に響くことはなさそうだ。

 

 いや、厳密には「酒を控えろ」とか「ここでは吞むな」といった常識的な注意については、どこ吹く風なのかもしれない。

 

 榎本と大鳥にとっては、副長が二人にかまっているということじたいが超ハッピーにちがいない。

 

 二人は、素晴らしき勝負そっちのけで体ごと副長の方に向き、なにかしゃべりまくっている。

 

 しかも、副長が勝負をみることができない位置に立っている。

 

 あの立ち位置は、ぜったいにわざとに決まっている。 副長は、思いあまってか左右にいる隊士たちになにやら命じた。

 

 すると、命じられた隊士たちが数名がかりで榎本と大鳥を抱え、どこかに連行してしまった。

 

 なんてことだ。この箱館政権のツートップを駆除、もとい退場させてしまった。

 

 これは、反乱?謀反?に値するのではないのであろうか?

 

 そんなささやかな一幕があったなかでも、すさまじいのかどうかすらわからぬ勝負はつづいている。 

 

「なにかすごすぎて、もはやすごいのかどうかもわからぬ」

 

 隣で伊庭がつぶやいた。

 

 かれも、おれとおなじようだ。

 

 金属がぶつかり合い、こすれ合う音が、波の音と混じりあう。

 

 それ以外の音はない。

 

 といいたいところであるが、ときおり咳や咳払い、なんらかのつぶやきはする。

 

 とはいえ、が立てる音はおおむね聴こえてこない。ついでに、犬の立てる音も。

 

 どのくらいの攻防がつづいているのだろうか。体感的には、十五分以上つづいているように感じる。それが間違いがなければ、俊冬と俊春のスタミナは相当なものである。

 

 日頃、霞と空気しか摂取していなさそうな二人なのに、どこにあんな力をためていて、どうやってひきだしているのだろう。

 

 もしかしたら、かれら特製のスポーツドリンク同様、プロテインとか栄養バーとか、その他滋養のつくものでもつくって喰っているのかもしれない。

 

 不可思議でならない。このパワーは、いったいどこからわいてくるのか?

 

 そのとき、二人は距離を置いて動きをとめた。

 

 泳ぎつづけていないと死んでしまうマグロ同様、かれらも動きつづけていないと調子が悪くなるらしい。まぁそれはおおげさにしても、やっと動きがとまった。小休止なのだろうか。それとも、さらなる超高速アクションに備え、一息入れようっていうわけなのだろうか。

 

 二人とも、正眼にかまえて相手をみつめている。

 

 このレベルになると、探り合いなどしないのだろう。

 

 意外と本能で動くのかもしれない。勝手に体が反応して動くのかもしれない。

 

 にらみあっているというよりかは、みつめあっているという方が適切な表現かもしれない。

 

 どちらの

大鳥もやってきた。

大鳥もやってきた。

 

 副長は、大鳥と肩をならべて俊春の話をきいていた。それからしばらくすると、副長は手招きをしておれたちを呼びよせた。

 

 って、おれも呼ばれているってことでいいんだよな?

 

 しれっと呼びよせられてみた。

 

 集まったのは、伝習隊の小隊長と新撰組の幹部である。http://debsy.pbworks.com/w/page/154468203/%E3%82%8F%E3%81%9A%E3%81%8B%E3%81%AA%E9%96%93%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%8C http://simp.ly/p/hS7QkX https://angelsdirectory.com/The-process_305894.html って、ここでも自分を幹部にくわえているところがどあつかましすぎる。

 

 そういうツッコミはどうでもいい。会津藩サイドは、遊撃隊も含めて大鳥の「撤退」のがでるよりもはやく、とっとと戦線を離脱してしまった。

 

 史実どおりではある。承知していたことではある。

 

 先日の副長の熱い言葉は、むなしい結果となってしまった。わかってはいても、「おいおい、もうちょっとがんばろうよ」って会津藩サイドにツッコみたくなってしまった。

 

 じつは、副長がいった『にしたがえ』というのは、敵に突撃せよというものではなく、『離脱せよ』という命令であった。

 

 かれらがそれを不服とし、従わずに玉砕してしまわぬように念のための保険だったわけである。

 

 まぁ史実どおりに動いてくれたからこそ、たいした被害もでていないと思われる。

 そこはよしとすべきかもしれない。

 

「会津や二本松、仙台の連中が逃げている間、おれたちが敵を喰いとめる」

 

 副長は、おれたち一人一人のをみまわしながら告げた。おれたちも副長のをしっかり受け止めてからうなずき、いま告げられたことを了承する。

 

「伝習隊、それからの大砲を並べ、砲手はすぐに発射できるようにしてくれ。それから、銃もだ。すべての射手が二列に並び、前列は片膝立ち、後列は立って、それぞれ構えてすぐに発射できるようにしてくれ」

 

 え?まさか、マジで迎え撃つと?敵の大砲は、こちらのとは比較にならぬほど精度が高い。敵は、目をとじていたってこちらをふっ飛ばせるだろう。

 

「副長。まさか、ぽちが?」

 

 斎藤のつぶやきによる問いは、まるでおれの推察にダメだししているかのようである。

 そのかれのは、副長と大鳥のうしろでひっそりたたずむ俊春に向けられている。

 

「ああ。ぽちがやってくれる」

と声は、不安気というか心配気というかそういった類の

 副長のがまじりあい、にじみでている。

 

 一分一秒でもはやく逃げなければならないなか、をつとめるとはいえ、わざわざ砲撃や射撃体勢を整えて迎え撃つのである。なにか保険や切り札がなければ、とてもではないが敵の大軍のまえに立てるわけがない。

 

 その保険、っていうか切り札が、俊春というわけなのか……。

 

 さすがは斎藤である。すぐにそのことに気がついたわけだ。

 

 斎藤のことを感心しつつ、京でのことを思いだしてしまった。

 

 俊春は、全員を逃すため、俊冬の援護のもと単身敵に突っ込み、全滅させたのである。それこそ、創作の世界にでてきそうなヒーローのごとく、敵軍をものの見事に討ち果たしたのだ。

じられ、相棒とともに単身敵のただなかに残ってくれた俊春をむかえにいった。

 そのときにみた光景は、まるで地獄絵図であった。その凄惨きわまりないは、いまだに夢にでてくる。それほど強烈に、脳と心に刻み込まれている。

 

 いや、おれのことなどどうでもいい。

 

 問題は、俊春自身のである。

 

 かれは自分自身がおこなった鬼神のごときふるまいに、を痛めていた。いや、そんななまやさしいものではない。完全に破壊されたといっても過言ではない。

 

 血にまみれた大地と敵の屍にもショックをうけたが、それ以上に血にまみれたかれとかれのを目の当たりにし、おれはショックをうけすぎてどうしていいのかわからなかった。

 

 またあのときのように、かれは自分自身のを破壊するつもりなのだろうか。

 

 ゾッとしてしまう。背筋を、つめたいものが伝い落ちてゆく。

 

 もう二度と、あのときの傷ついたかれをみたくはない。

 

 相棒が、かれの左脚に頭部をすりつけている。相棒のその頭を、かれの三本しかない掌がなでつづけている。

 

「ぽち……」

 

 斎藤も、あのときのことを思いだしているのだ。切羽詰まったようなを俊春に向け、なにかいいたそうにしている。

 

 島田や蟻通も同様である。

 

「京でのように、敵を殲滅するわけではございません」

 

 かれはおれたちの心をよんだのか、あるいはおれのよみやすいをみたのであろう。うつむいていたが

 副長にをあげ、静かにいった。

 

「心やさしくの心や体躯の痛みをしるわんこの気持ちなどかえりみることなく、平気で穢れ仕事ばかりさせるにゃんこがこの場におれば……」

 

 かれは、そこでいったん悲し気に微笑んだ。

 

「七千人皆殺しにしろ」と、『おまえ、頭おかしいだろう?神か?仏か?なに様目線でいってやがる』と、心のなかで泣き叫びたくなるようなことを平気で命じるでしょう」

 

 かれがまた、なんかいいだした。

 

「その傲慢きわまりないにゃんこは、発情して雌猫を追いまわしておるようで、なかなかもどっては参りませぬ」

 

 かれにはまだ、にゃんこにたいしていいたいことがあるらしい。

 

 斎藤や安富や尾関や尾形、それから大鳥は、目を点にしたうえに口をぽかんとあけて俊春をみている。

 

「というわけで、此度は威嚇するだけでございます」

 

 そして、かれは気持ちがいいほどにピシャリとシメた。

 

「俊春君。きみは、七千人全員を皆殺しにできるんだね。すごいじゃないか」

戦の火ぶたがきられると

 戦の火ぶたがきられると、会津藩の兵卒たちはソッコーで逃げだすらしい、ということもつけくわえておいた。

 

 じつは、戦端がひらかれると同時に撤退命令がだされることになっている。

 第三台場が本陣になるのであるが、第一と第二の台場は、あっという間に敵に奪われてしまうことになっているからである。

 

 さらにもう一つ。https://sitenum.com/debsy.com https://www.website.show/url-details/WCP-wy-XLB https://www.hkttf.com/viewthread.php?tid=113644&extra=&frombbs=1 これもまた、副長に伝えてあることがある。

 

「大鳥さん。明日は、あんたが指揮をとっちゃくれまいか?」

 

 軍議の席上、とはいえ、戦国武将みたいに床几があるわけではなく、岩の上に座ってとか樹にもたれてとか、各自思い思いの姿勢でいるのだが、兎に角、副長が大鳥に依頼した。

 

「案じてくれなくてもいい。こちらで策は練ってある。それをあんたの口から発してくれればいいんだ。今朝はああいったが、此度の戦は会津にとって正念場だ。ちゃんとした であり幕臣であるあんたが指揮をとったほうが、会津藩兵もやりやすかろう」

 

 その会津藩兵は、火ぶたがきられればソッコーで逃げだすので、だれが指揮をとろうと関係ないのではあるが……。

 

 ゆえに、このまま副長が指揮をとってもいいのである。

 

 が、この戦いの指揮官は、あくまでも大鳥である。

 

『大鳥が、指揮をとった』

 

 ウィキには、そのように記載されている。土方歳三、つまり副長にいたっては、所在が定かではないと記載されている。

 

 こういう大局では、できるだけ伝えられてることに忠実でありたい。

 

 なかなか芸が細かいよなって、自分でも感心してしまう。

 

「あー、土方君。気を遣ってもらって悪いんだけどね。ぼくはどうも「負け男」のようなんだ。ゆえに……」

「大鳥さん。あんた、誠にかわっているな。それに、らしくない。だが、家格や地位にこだわっているほかのくそったれどもにくらべれば、よほどまともだ」

 

 副長は、そのように笑いながらいった。

 

 周囲は暗い。火を炊くわけにはいかないからである。物音にも気をつけなければならない。ゆえに、戦国時代のように、馬たちにはわらじをはかせ、ハミを噛ませてある。もちろん、も軍靴から草鞋にはき替え、移動している。

 

「土方君、きみに気に入ってもらえてうれしいよ」

 

 大鳥は、副長の世辞を真にうけたようである。

 

 副長は、それを苦笑でかわした。

 

 それから、俊春メイドの地図をひろげ、配置を指示していった。

 

 翌朝、史実どおり濃霧になった。

 

 そして、史実どおりの展開になった。

 

 火ぶたがきられてから、敵のテンションは超絶マックスで、大砲をガンガン撃ちまくってきた。

 

 第一と第二の台場には、それぞれ大砲を一門ずつ設置している。砲手には、二、三度撃っただけですぐに退くよう指示してある。ゆえに、第一と第二の台場はソッコーで落とされた。

 

 単純に『戦った』という、既成事実をつくりたいのである。が、こちらのヨミちがいがおこった。っていうか、おれの記憶ちがいか、あるいは伝えられている内容がちがっているのかはわからない。兎に角、敵の大砲の数や機動力が想像の斜め上をいっていたのである。

 

 これでは、敗走する背中をとらえられ、確実に喰いつかれて殺られてしまう。

 

 撤退しながら戦うのは、まえに進みながら戦うことより難しい。の、「金ケ崎の退き口」などがいい例である。

 

「副長」

 

 俊春が敵のいる方角からもどってきた。

 

 かれは、第一と第二の台場、それと峠下に配置されていた伝習隊と新撰組の一部を逃すため、単身で敵を攪乱してまわっているのである。

 

 さすがは、異世界転生で「傭兵」をやっていただけのことはある。

 

 かれは、「豊玉」にちかづいていった。それに気がついた副長は、「豊玉」からさっとおりた。

 

 うーん……。

 

 いまの副長の下馬のし方は、現代風にいえば「HON〇A」や「KAWAS〇KI」といった大型バイクから颯爽とおりるようなものだったのか?

 

 はやい話が、副長はカッコつけて馬からおり立ったつもりにちがいない。

 

 残念なことに、大型バイクがサラブレッドだとすれば、在来馬である「豊玉」や「宗匠」は、さしづめ原チャリのようなものであろう。

 

 いくらカッコつけておりようとも、原チャリだったらなぁ……。

 

 一瞬、『誠』のステッカーをべったりはりつけているヘルメットをかぶり、原チャリで道路のはしっこをトロトロと走行している副長が脳裏に浮かんでしまった。

 

 く、草すぎる。

 

「宗匠」の鼻面をなでながら、思わずぷっとふいてしまった。

 

 って、また副長ににらまれてしまった。

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